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施設の入居条件「介護度」について知っておきたいこと

 
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老人ホーム(高齢者施設)にはそれぞれ「入居条件」というものがあるのをご存じですか?

いくら施設を気に入って「ここで暮らしたい」と思っても、

条件を満たしていないと入居することができません。

 

たいていの施設は60歳または65歳以上の高齢者が対象で、

それ以外にも医療依存の状態や介護度などさまざまな条件が設けられています。

 

今回は、入居条件の一つでもある「介護度」について一緒に見ていきましょう。

 

1:入居条件でよく見かける「要介護3」って何のこと?

 

実際に施設のパンフレットを請求したりホームページを見てみると、

入居条件のところに「自立」「要支援1以上」「要介護3以上」などと記載されているのを目にすると思います。

 

自立は、その名の通りにご自身で日常生活を送ることができる人を指し、

高齢者向け賃貸住宅など、まだまだ元気に自立した生活を謳歌するシニアに向けた施設の入居条件で多く見かけます。

 

それでは、要支援や要介護はどうでしょうか。

なんとなく、数字が大きい方がより介護が必要なのかな? 程度の知識の人もいるのではないでしょうか。

これから、少し詳しくお話ししていきます。

 

どちらも「要介護(要支援)認定」を受けた65歳以上の人を指します。

また、国が定めた特定疾病を患っている40~64歳の人も対象となります(※)。

(※)参照:特定疾病の範囲(厚生労働省)

 

要介護認定は、お住まいの市町村窓口に申請してその後二度の判定を経て認定されます。

身体の状態に応じ、軽度の方から要支援1・2、要介護1~5の全7段階があります。

 

施設内で介護保険の各種サービスを利用するには、要介護1以上の認定が必要になります。

2015年に改正された介護保険法では、

公的施設である特別養護老人ホームなどの入居条件は原則「要介護3以上」となりました。

 

要介護3とは、「立ち上がりや歩行が自力では難しく、着脱や排泄にも支援が必要」な状態をいい、

自宅の場合、長時間に渡る介護が必要となるので、施設などに入居する指針になるともいわれています。

 

2:介護度とその状態について

 

次に、全7段階あるそれぞれの介護度について心身の状態を見てみましょう。

 

要支援は、将来的に要介護状態になる可能性があるので支援しようという状態をいい、2段階に分けられます。

要支援1 身の回りのことは自立でできるが、日常生活の一部の動作に支援が必要な状態
要支援2 起き上がりや立ち上がりなどの一部の動作に支援が必要で、支援1の状態より能力が落ちている状態

 

要介護は、日常生活に支障があって介護が必要な状態をいい、軽度の1から5まで5段階に分けられます。

要介護1 自宅での生活はほぼできるが、歩行が不安定だったり、外出や買い物など部分的に介助が必要な状態
要介護2 立ち上がりや歩行が自分では難しいことが多く、衣服の着脱や身の回りのことなどに介助が必要な状態
要介護3 立ち上がりや歩行が自力では難しく、着脱や排泄にも支援が必要な状態
要介護4 寝たきりに近い生活で、日常生活に伴う身の回りのことほとんどに介助が必要な状態
要介護5 終日ベッドで過ごし、意思の疎通も難しくなり介護なしには日常生活を送ることができない状態

 

上記はおおよその目安となります。

 

普段お元気な方は当てはまらないとお思いかもしれませんが、

不慮な転倒で骨折してしまうなどして一時的に日常生活が困難な場合は認定対象となり得ることもあります。

生活の中で困っていることがある場合、お住まいの市町村の高齢者窓口へ行ってみるとよいでしょう。

 

3:介護認定者ってどれくらいいるの?

 

高齢化社会と言われて久しいですが、実際どのくらいの高齢者が介護保険サービスを利用しているのでしょうか?

 

2000年の介護保険制度創設時に比べ、

昨年時点で65歳以上被保険者数が約1.6倍、サービス利用者数は約3.3倍に増加しています。

出典:公的介護保険制度の現状と今後の役割

 

国内における65歳以上の介護保険第1号被保険者数は、3,537万人。

その内の要介護(要支援)認定者数は、665.7万人で、うち男性が209.9万人、女性が455.8万人。

第1号被保険者に対する認定者数の割合は、約18.5%となっています。

出典:介護給付費等実態統計/令和元年7月審査分(厚生労働省)

 

また、湘南エリア・藤沢市の統計を見てみると、

65歳以上の介護保険第1号被保険者数は10.6万人で

要介護(要支援)認定者数は、およそ1.7万人。

第1号被保険者に対する認定者数の割合は、約16%となります。

出典:藤沢市の高齢者人口(藤沢市役所)、要介護度別認定者数

 

国内全体はもちろん、

湘南エリアでも、年々高齢者の数と介護を必要とする人が増加し続けているのが分かりますね。

 

4:介護保険サービスの利用料って
いくらくらいかかるもの?

 

毎月の介護保険料は給与口座や年金から自動的に引き落とされて支払っていても、

実際に介護保険サービスを利用したときの料金については把握していない人も多いのではないでしょうか?

 

介護保険サービスは前年度所得によって自己負担の割合が決まり、

介護保険負担割合証が交付されます。

そこに、負担割合(1~3割)と適用期間(通常毎年8月~翌7月)が明記されます。

 

また利用する際には、要介護(要支援)認定の度合いによって利用限度額が決まっています。

この限度額を超えてサービスを利用した場合は介護保険が適用されなくなり、超えた部分については全額自己負担になります。

 

参考に、下記の藤沢市「居宅サービス」利用料金を見てみましょう。

居宅サービスとは、訪問(ホームヘルプ)・通所(デイサービス)・短期入所(ショートステイ)などのサービスを指します。

 

要介護状態区分 利用限度額の目安(円)
要支援1 53,700円
要支援2 112,500円
要介護1 179,000円
要介護2 210,400円
要介護3 288,900円
要介護4 330,400円
要介護5 386,800円

出典:藤沢市における居宅サービスの支給限度額(1か月)

※利用限度額は地域やサービス種別によっても変わるので、利用する際には必ずご確認ください

 

例えば…

要介護3の人が限度額いっぱいで利用した場合、実費を負担割合別に比較してみるとどうでしょうか?

1割負担の場合→2万8890円

2割負担の場合→5万7780円

3割負担の場合→8万6670円

かなり大きな金額差になることがわかりますね。

 

これは、高齢者施設に入居して介護サービスを利用するときにも同様のことがいえます。

施設入居を考える際には、月々の家賃や光熱費などの固定出費のほかに

オムツや医療費、そして上記のような介護保険サービスを利用するときの自己負担額も念頭に入れて

月々の支払い額を検討する必要があります。

 

5:まとめ

 

介護保険制度や介護保険料のシステムは複雑に入り組んでいて、なかなか簡単には理解できない部分もあるかもしれません。

はじめて親の介護をする、という人にとってはなおさら分からないことだらけでしょう。

まずは在宅での介護を考えているなら、

お住まいの市町村の高齢者窓口や地域の包括支援センターに相談することをおすすめします。

 

そして高齢者施設への入居を検討する際には、

パンフレットやホームページに大きく掲載されている月々の利用料(家賃・光熱費・食費など)以外に

介護保険サービス利用料がかかるということをお忘れなきように。

せっかく入居しても、想定外の出費で退去せざるを得ないことにならないように、

事前に少しでも知識を深めて、施設見学に行ったときなどにしっかりと情報収集できるスキルを養っておきたいものですね。

【関連記事】

「介護保険と利用できるサービスの種類とは?」

 

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