認知症の介護で家族に限界がくるまでに知っておくこととは
大切なご家族が認知症になられた場合、最初の頃はご家族での介護も順調に進むことが多いものです。
しかし認知症の症状が中期に入ると徘徊や失火、転倒による事故などが起こりやすくなります。
そしてさらに「認知力」が低下することで、ご本人がどこにいるのか、誰なのかがわからないことが増えてきて、ご家族の負担が重くなってしまうことになります。
このような状況になると人は冷静な判断がしにくくなりがちです。
そこで今回は先回りして、認知症の方の介護で家族に限界がくるまでに知っておいてほしいことを紹介します。
1: 認知症の症状を理解しよう
はじめに認知症の症状を理解しておくことが大切です。
認知症とは、非常に簡単にお伝えすると「脳の細胞がこわれることで引き起こされる様々な症状」と言えます。
脳はご存じのように次のような機能をつかさどっています。
- 記憶
- 思考
- 判断
- 運動
脳の細胞がこわれることで、こういった暮らしに直結した機能に予想できない障害が現れてきます。
■知能分野の障害の特徴
(1)健忘
もの忘れがはげしくなる。いま聞いたことが覚えられないことが増える。繰り返し同じことを言うことが増える。
(2)見当識障害
時間、場所、人がわからなくなる。
(3)思考障害
思考力の低下。
また、他人の話が理解しにくくなることもあります。
お買い物へ行ったときにお釣りの計算が難しくなります。
(4)認知障害
いつも見ている人を見分けにくくなります。
そのため人違いをすることも増えてきます。
■身体分野の障害の特徴
(1)歩行障害
思うようにうまく歩くことが難しくなります。
(2)嚥下障害
食べ物がうまく飲み込めないことが増えます。
嚥下障害が続くと、食べ物の一部が肺へ入ってしまい、そこから細菌が繁殖し「肺炎」を起こす可能性が高まります。
(3)膀胱直腸障害
尿や便が排泄しにくくなることがあります。
反対に自分でコントロールしにくくなり失禁することもあります。
このような症状のある認知症ですが、残念ながら認知症になる原因は今のところ明確にはわかっていません。
ただ認知症に影響が多いのは
- アルツハイマー病
- 脳血管障害(脳出血や脳梗塞です)
- レビー小体病
だと言われています。
2: 認知症の介護で大切なこと
(1)介護保険の申請
ご家族が認知症だと診断された場合、私たちが一番に行動を起こす必要があるのが、介護保険の申請手続きです。
何をおいても市区町村の窓口へ申請に足を運びましょう。
いまは介護の必要性がわからないかもしれませんが、認知症の症状が進行すると必要になります。
介護保険サービスを積極的に利用し、ご家族の暮らしもご本人の暮らしも、どちらへの負担もできるだけ軽減させることを目標にしていただきたいと思います。
(2)ケアマネジャー
介護保険の申請が通りましたら、今後の介護の方法や介護サービスの利用をケアマネジャーと決めていく必要があります。
このとき、ケアマネジャーへこちらの意向を丁寧に伝えることを忘れないでください。
というのもケアマネジャーが作成するケアプランが、今後の介護サービスの利用に大きく影響してくるからです。
自分たちで難しいことは無理をせずに「できないので介護サービスを利用したい」と伝えましょう。
また、ご本人は自分でできるとおっしゃるかもしれませんが、そこはご家族がケアマネジャーへ事情をお話ししておきたいところです。
(3)利用したい介護サービス
24時間365日、認知症の方の介護をご自宅で続けるのは大変です。
過去に介護施設でのお勤めや、病院などで看護師をされていた経験のある方ならできるかもしれませんが、そうでない場合は難しくなります。
日中の少しの時間でも介護する側が使える時間を確保しましょう。
また、認知症の方も同じような症状の方と一緒にいることで症状を遅らせることができることもあります。
そこで利用したいサービスとは「デイサービス」や「デイケア」と呼ばれる介護サービスです。
また、たまにはご家族が泊まりで旅行でもして気持ちをリフレッシュしたいこともあるでしょう。
そういった場合には「ショートステイ」の利用を検討してもらいたいと思います。
(4)認知症の方の不安を知ろう
介護サービスの次に、認知症の方の介護で大切なことは
「認知症の方は、常に不安である」
ということです。
もしあなたが、いま立っている(座っている)場所がどこかわからなかったら不安ではないでしょうか。
目の前にいる人が、誰かわからなかったら不安ではありませんか。
認知症の方は、常にこういった状態で暮らしています。
ですから、同じことをお聞きになったとしても、不安をやわらげる接し方を心がけてもらいたいのです。
(5)認知症の症状が強く出た場合には理由がある
急に症状が強くなった場合には、相応の原因があります。
■体の調子が良くない
自分ではうまく伝えられないので、どうしてもイライラして症状が強くなることがあります。例えば次のような状態になっておられることがあります。
- 脱水症状
- 便秘
- 眠れていない
- トイレに行きたいけれど場所がわからなくなっている
■生活環境が変わった
- これまで一緒に住んでいなかった人が引っ越ししてきた
- 部屋の模様替えをした
- 認知症の方がいつも使っていたものを捨てた(新しいものに変えた)
新しい環境(どれだけ小さくても本人にとっては不安なのです)になじむまで時間がかかります。
■ご家族がぎくしゃくしている
認知症の方は、ご家族同士の雰囲気がわからないと思っている人がいらっしゃいますが、そんなことはありません。
ご自身が不安なので、いつもちょっとした違いを敏感に感じておられます。
■役割がなくなった
「認知症=何もできない」ではありません。
症状の進行によっても、できることがあります。
ご自宅の中で小さなことでも構いませんので「役割」をもたせるようにするのが大切です。
「認知症だから自分たちがやってしまおう」という気持ちは大変理解できますが、ご本人にとっては不安になるのです。
3: 認知症介護に限界を感じたとき
介護に限界を感じたとき、自分一人(ご家族だけ)で抱え込まないでください。
次のポイントを参考にして、外部の介護の専門家に相談するのがおすすめです。
(1)役割分担
あなた一人で介護を背負っていませんか?
ご家族で介護の役割分担を決めてみてはいかがでしょうか。
外出時の付き添いは○○。
事務手続きは○○。
日中に預かるのは○○。
ひとりで全部することはできません。
ご家族の協力を求めましょう。
(2)無理をしない
完璧な介護を目指さないでください。
グチや不満を言ってもいいんです。
自分の時間を作って楽しむことは必要です。
そしてこれが大切です。
「介護する人が疲れ切って倒れる前に休むこと」
介護する人が倒れてしまって入院ともなると、すべてがガラッと変わってしまい、介護どころの話ではなくなります。
(3)割り切る
難しいかもしれません。
でも、これが一番なのも事実です。
認知症の人を叱っても意味がありません。
ご本人は忘れたくて忘れているのではないからです。
認知症とは忘れる病気なのです。
病気だと割り切りましょう。
(4)介護サービスをフル活用
ケアマネジャーと相談しながら、利用できる介護サービスはフル活用しましょう。
介護サービスを利用して、自分の時間を確保するのは良いことです。
後ろめたい気持ちになるかもしれませんが、あなたの人生を送ることは大切な義務です。
(5)それでも限界のとき
それでも介護に限界を感じることもあります。
そういうときには、まず事情を知っているケアマネジャーへ相談しましょう。
また、地域包括支援センターへ相談するのも良いでしょう。
さらに、ここまで限界が迫っているということは、介護施設への入居を検討するタイミングかもしれません。
ご本人の健康や安全を守るためにも、施設への入居を具体的に検討し、行動する必要があると言えます。
4: まとめ
ご家族が認知症になられた場合、介護を避けてとおることはできません。
そのため介護で限界がくるまでに知っておいてもらいたいことをお話しました。
介護は無理をしないことが一番です。
そして介護施設への入居は介護の放棄ではなく、ご本人にとっても安全に安心して暮らせる環境の提供だと言えます。
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